脂肪を取ったほうがいいのか控えたほうがいいのかを議論する前に、脂肪について詳しく知っておく必要があるでしょう。
飽和脂肪酸 | 常温でも固体である。乳製品や動物の脂身に含まれる脂肪。 |
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不飽和脂肪酸 | 常温で液状のもの |
オレイン酸 | オリープ油に多く含まれています。 |
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リノール酸 | 紅花油、コーン油、ひまわり油など、市販のサラダ油に多いもの。ドレッシング、揚げ物、加工食品など、私たちがもっともたくさん消費している油です。 |
オメガ3脂肪酸 | 冬野菜や亜麻仁油、またイワシやサバ、サケ、サンマなど青魚に多く含まれるもの。 αリノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の三つをまとめてこう呼んでいます。 |
以上の四つの種類のうち、リノール酸とオメガ3脂肪酸は体内で合成できないので、必須脂肪酸といわれています。脂肪というとエネルギー源と理解されますが、必須脂肪酸は体内で局所ホルモンとして体内環境の調節に働くのです。
(以上にあげたものは自然界に存在するものですが、これら以外に人工的に作られたトランス脂肪酸なんていうものも存在します。この脂肪はまったく害以外の何ものでもないのですが、これについては別記事としてアップしたいと思います)
そしてこのリノール酸とオメガ3脂肪酸は、それぞれ反対の働きをします。たとえば、リノール酸から変換されたプロスタグランディンという物質は、出血したときに血栓を作り、傷口を塞ぐ反応を促進しますが、オメガ3系は血栓が血管を塞がないようにします。免疫反応が起こったとき、リノール酸は免疫細胞が働きやすいように体熱を上げ、オメガ3はそれを穏やかにします。リノール酸とオメガ3はそんなふうに拮抗しながら作用していて、体内の環境を正常に保っているわけです。だからこのバランスが崩れたときに多くの問題が起こるわけです。
- リノール酸は、血栓を作る。炎症反応がおきやすい。
- オメガ3脂肪酸は、血液をさらさらにする。炎症を抑える。
リノール酸とオメガ3脂肪酸は、どちらが多すぎてもだめです。1:1の割合で摂るのがベストなのです。しかし現実は、食用油としてリノール酸である紅花油やコーン油などのサラダ油を大量に使っており、摂取比はたぶん10対1から100対1以上にもなっているはずです。
リノール酸が働きすぎて血栓が作られすぎると、血管が塞がれて高血圧になったり、また狭心症のような心臓病になる確率が高くなります。免疫反応が過剰に働いてより炎症が強くなると、ヒスタミンなどの化学物質が放出されアトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー性疾患や、リューマチ、膠原病などの病気で症状が悪化します。
子供のアトピー性皮膚炎が増えていますが、原因の一つには、親の世代から加工食品や外食などでリノール酸を多くとるようになったことも大きいと思います。現に東北大学医学部が、アトピー性皮膚炎の患者に魚油入りのカプセルを投与する実験を行ったところ、88%もの患者が改善されました。
それだけでなく、青魚に豊富に含まれるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は、脳細胞の細胞膜として利用され、学習能力を高めたり、老人性痴呆症を予防することがわかっているのです。
揚げ物を控えてリノール酸を減らすと同時に、亜麻仁油や魚油などを積極的に摂ることをおすすめします。
また表中のオリーブオイルは今回触れておりませんが、非常にいい効能がある油なのでこちらも積極的に摂ることをおすすめしたい(別記事で詳しくお伝えしたいと思います)